山梨県甲州市勝沼町。日本ワインの聖地とも呼ばれるこの地に、ひときわ洗練された雰囲気を放つワイナリーがあります。それが「シャトージュン(Château Jun)」です。
運営母体は、ファッションブランド「JUN」。アパレルブランド「ROPE’(ロペ)」や「ADAM ET ROPÉ」などを展開する同社が、「ワインもまたライフスタイルの一部である」という理念のもと1979年に創業しました。
つまりシャトージュンは、ファッションとワインが融合した、日本で唯一のブティックワイナリーなのです。
当初は社交場のようなサロン文化を背景に、衣食住をトータルで提案するブランド戦略の一環として始まりました。しかしその後、単なる企業の延長ではなく、「本物の日本ワイン造り」を追求する生産者として歩みを進めます。そこには、モノづくりへの誠実さと美意識が共通して息づいているのです。
シャトージュンが拠点とする勝沼は、甲府盆地の東側に位置し、日照時間が長く、昼夜の寒暖差が大きいというブドウ栽培に理想的な環境を持っています。
この地で育つ代表的な品種が「甲州」と「マスカット・ベーリーA」。いずれも日本の風土に適した品種であり、シャトージュンはこれらを中心に、やさしく、透明感のある味わいのワインを生み出しています。
たとえば「シャトージュン 甲州」は、柑橘や白い花のような繊細な香りが特徴で、すっきりとした酸味とミネラル感が際立ちます。日本料理との相性が抜群で、刺身や天ぷらなどの繊細な和食にも寄り添う、まさに“日本の白ワイン”と呼ぶにふさわしい一本です。
一方、赤ワインの代表格「マスカット・ベーリーA」は、やわらかな果実味と軽やかなタンニンが印象的。木樽で熟成させることで、より深みと香ばしさが加わり、肉料理や和風煮込みにもよく合います。
シャトージュンが大切にしているのは、「美しい日本を醸す」という理念です。
単にワインをつくるのではなく、日本の風土、文化、感性を表現すること。それが彼らの目指すワイン造りの根幹です。
たとえば、畑では除草剤を極力使わず、自然と共存する栽培を実践。収穫も手摘みにこだわり、一房一房の状態を丁寧に見極めます。
醸造においても、低温発酵による香りの引き出しや、樽熟成のバランスを重視するなど、「繊細な日本人の味覚」に寄り添うスタイルを徹底しています。
また、ボトルデザインにもファッションブランドらしい美意識が反映されています。ミニマルで上品なラベルは、テーブルに置くだけで絵になる存在感を放ちます。こうした細部へのこだわりが、「飲む人のライフスタイルを豊かにするワイン」として多くのファンを魅了しているのです。
シャトージュンのワインは、国内のみならず海外のコンクールでも高く評価されています。
とくに「甲州」や「マスカット・ベーリーA」は、ロンドンのワインコンペティション「Decanter World Wine Awards」などでも受賞歴があり、日本ワインの品質向上を象徴する存在として知られています。
さらに、ワイナリーでは定期的にテイスティングイベントやアートとのコラボレーションを開催。音楽や食、ファッションを融合させたイベントは、まるで“体験型ギャラリー”のよう。そこには、「ワインを五感で楽しむ」というシャトージュンならではの世界観が広がっています。
シャトージュンのワインは、飲み手のシーンに合わせた多彩なラインナップが魅力です。
シャトージュン 甲州
繊細な酸味と和柑橘の香り。寿司や和食に寄り添う上品な白。
シャトージュン マスカット・ベーリーA
華やかな果実香とやわらかな渋み。冷やしても美味しい軽やかな赤。
シャトージュン シャルドネ
果実のふくらみとオークの香ばしさが調和。フレンチにも合う上質な一本。
シャトージュン スパークリング
華やかな泡立ちとドライな味わい。特別な日の乾杯にぴったり。
どれも一貫して、「やさしさ」「エレガンス」「美しさ」を体現しており、日本の食文化と調和するようデザインされています。
シャトージュンの魅力は、単なる味わいにとどまりません。
「ワインを飲むこと=ライフスタイルを楽しむこと」という視点を提示している点にあります。
ファッションブランドが造るワインだからこそ、「どんな時間に」「どんな空間で」「どんな気持ちで」味わうかという体験全体にまで意識が行き届いています。
たとえば、休日の昼下がりにお気に入りの音楽を流しながら、グラスを傾ける。そんなシンプルな時間にも“上質な美”を感じさせてくれるのがシャトージュンです。
それはまさに、日常を豊かにデザインするワインと言えるでしょう。
「シャトージュン」は、日本ワインの世界において独自のポジションを築いています。
ファッションブランド発のワイナリーでありながら、その根底には“本物のワイン造り”への情熱と、“日本の美意識”への深い理解があります。
華やかさと誠実さ、伝統と革新。
そのすべてが一つのボトルに込められたとき、私たちはただのワインではなく、「日本という文化」を味わっているのかもしれません。
これからもシャトージュンは、ワインを通して「美しい日本のあり方」を世界に発信し続けることでしょう。