華やかさと伝統が共鳴するシャンパン「コレ（Collet）」の魅力

シャンパン「コレ（Collet）」は、フランス・シャンパーニュ地方の中心地、エペルネ近郊のアヴィーズ村に本拠を構える名門メゾンです。設立は1921年。第一次世界大戦後の復興期、アール・デコ文化が花開く時代に誕生したコレは、芸術と美を愛する人々の象徴的存在として発展してきました。創業から100年以上の歴史を持つ今も、その理念は変わらず「伝統と創造の調和」を大切にしています。

コレの特徴を語るうえで欠かせないのが、「アール・デコ」の美学です。1920年代の華やかな文化を背景に誕生したコレは、建築やデザイン、芸術などに通じる幾何学的な美と洗練を表現しています。ボトルデザインもその象徴で、直線的で気品あるフォルムはまるで美術品のよう。

コレは単なる飲み物ではなく、「美しい時間を彩る芸術」として存在しています。フランス国内ではパリのオペラ座や一流ホテルで提供されることが多く、華やかな舞台にふさわしいシャンパーニュとして愛されています。

コレは「コーペラティヴ・シャンパーニュ（生産者協同組合）」の一員としても知られます。約800軒の栽培農家が力を合わせ、高品質なブドウを安定的に供給しています。栽培地はグラン・クリュやプルミエ・クリュといった格付けの高い畑が中心。ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネの3品種を絶妙にブレンドすることで、バランスのとれた味わいを実現しています。

この協同組合体制は、テロワール（風土）を尊重しながらも品質の均一性を保つことができる大きな強みです。個々の農家の情熱と、メゾンの厳格な品質管理が融合することで、コレならではの一貫したクオリティが生まれます。

コレのシャンパーニュは、全体的にエレガントでありながら、奥行きのある味わいが魅力です。代表的な「コレ・ブリュット（Collet Brut）」は、シャルドネの爽やかな酸味、ピノ・ノワールの骨格、ピノ・ムニエの果実味が見事に調和。焼きリンゴやブリオッシュの香りに、花のような華やかさが重なり、長い余韻を楽しめます。

さらに熟成期間の長さも特徴的。一般的なシャンパーニュよりも長く、最低でも3年、上位キュヴェでは5年以上の熟成を経るものもあります。これにより、泡はきめ細かく、味わいには丸みと複雑さが加わります。

• コレ・ブリュット（Brut）：最もスタンダードな一本。爽やかな柑橘とトースト香が特徴で、前菜や魚介類に最適。

• コレ・ブリュット・アルティザン（Brut Art Deco）：アール・デコ時代の芸術性を表現した逸品。豊かな果実味と繊細な泡立ちが魅力。

• コレ・ブラン・ド・ブラン（Blanc de Blancs）：100％シャルドネ使用。白い花やレモンピールの香りが広がる、清楚で洗練された味わい。

• コレ・ロゼ・ドライ（Rosé Dry）：ピノ・ノワールの華やかさと果実の甘みが絶妙。デザートやアペリティフにぴったり。

どのキュヴェも、食事との相性が良く、シーンを選ばず楽しめるのがコレの魅力です。

コレは創業当初から「芸術を愛するメゾン」として知られています。現代でもアーティストとのコラボレーションやアートイベントを積極的に展開。たとえば、ボトルやパッケージデザインに著名なアーティストを起用することもあり、まるでシャンパンそのものが「飲む芸術作品」として存在しています。

アール・デコ時代の華やかな精神を継承しつつ、現代の美意識と融合させる――この姿勢が、世界中のシャンパン愛好家から支持される理由のひとつです。

グラスに注がれた瞬間に立ちのぼる繊細な泡、花のような香り、そして心地よい酸と果実味。コレのシャンパーニュは、特別な日だけでなく、日常を少し贅沢にしたい時にも寄り添ってくれる存在です。

100年の歴史と芸術的感性を併せ持つコレは、単なるシャンパンではなく、“時間を彩る芸術品”として楽しむ価値があります。あなたの大切なひとときを、コレの優雅な泡がより豊かに演出してくれることでしょう。

シャンパーニュ・コレは、アール・デコの優美な精神を受け継ぎながら、伝統と革新を調和させた稀有なメゾンです。協同組合の力で支えられた確かな品質と、芸術への敬意が生み出す唯一無二の味わい。コレの一杯は、シャンパンの本質――「美と時間の融合」――を体現しているのです。

ワインコラム