「クレマン(Crémant)」とは、フランスで伝統的な瓶内二次発酵によって造られるスパークリングワインの総称です。シャンパーニュ地方以外で生産されるスパークリングワインのうち、一定の品質基準を満たしたものに与えられる称号で、現在フランス国内には8つのクレマン生産地があります。中でも「クレマンドワール(Crémant d’Or)」という呼称は、ブルゴーニュ地方やアルザス地方で造られる高品質なクレマンの中でも、特に黄金のような輝きを放つ泡として知られています。
「クレマン(crémant)」という言葉はフランス語で「クリーミーな」という意味を持ち、きめ細やかな泡立ちを表現したものです。実際、シャンパーニュと同様に長期間の熟成を経ることで、泡は非常に繊細でクリーミーな舌触りを生み出します。
クレマンドワールは、その名の通り「黄金のクレマン」と称されるほどの華やかさと気品を併せ持つスパークリングワインです。主要な産地としてはブルゴーニュ(Crémant de Bourgogne)、アルザス(Crémant d’Alsace)、ロワール(Crémant de Loire)などがあり、それぞれのテロワール(風土)が個性豊かな味わいを生み出します。
例えば、クレマンドブルゴーニュはピノ・ノワールやシャルドネといった高級品種を使用し、果実味と酸味のバランスが秀逸。まるで上質なシャンパンを思わせるような深みがあります。
一方、クレマンドロワールはシュナン・ブランを主体に造られ、フレッシュで爽やかな酸と白い花のような香りが特徴。軽やかで親しみやすい味わいは、アペリティフにも最適です。
さらに、クレマンダルザスは豊かな果実味と芳醇な香りが魅力で、食前酒だけでなく食中酒としても幅広く活躍します。
このように、「クレマンドワール」という言葉には、フランス各地のクレマンの中でも特に光り輝く品質や、黄金色の泡立ちを象徴するニュアンスが込められています。
クレマンは「メトード・トラディショネル(méthode traditionnelle)」と呼ばれる、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵方式で造られます。一次発酵を終えたワインに糖分と酵母を加え、瓶内で再発酵させることで自然な泡を生み出します。その後、澱とともに熟成させることで、きめ細やかな泡と複雑な香りが形成されるのです。
最低熟成期間は9か月以上と定められており、造り手によっては1年以上熟成させることも珍しくありません。時間と手間を惜しまない製法によって、クレマンはシャンパーニュに引けを取らない深みとエレガンスを持つスパークリングとして評価されています。
クレマンドワールの魅力のひとつは、シャンパーニュに匹敵する品質を、より手頃な価格で楽しめることです。シャンパンの価格が高騰するなか、同じ製法・同等の熟成期間を経たクレマンは、コストパフォーマンスの高さで注目を集めています。
例えば、ブルゴーニュの名門ドメーヌが造るクレマンは、果実味と酸味のバランスが絶妙で、食卓を華やかに彩る一本として人気です。普段の食事に少し贅沢をプラスしたいとき、記念日の乾杯を華やかにしたいときなど、クレマンはあらゆるシーンに寄り添う万能なスパークリングといえます。
クレマンドワールは、その上品な泡と爽やかな酸味により、さまざまな料理と相性抜群です。魚介類や鶏肉料理はもちろん、和食との相性も非常に良く、特に天ぷらや寿司、出汁を使った繊細な料理にも寄り添います。
また、熟成期間の長いクレマンは、ナッツやトーストのような香ばしいニュアンスを持つため、チーズやクリーム系の料理とも好相性。フレンチはもちろん、日本の食卓にも自然に溶け込む万能なスパークリングです。
クレマンドワールは、華やかで上質な泡立ちを持ちながら、気取らずに楽しめるスパークリングワインです。造り手の情熱と伝統技術が生み出す黄金色の泡は、まさに「小さな贅沢」。
特別な日だけでなく、日常の食卓や仲間との語らいにも寄り添う一本として、ぜひ手に取ってみてください。クレマンの泡が、あなたの時間を優雅に彩ってくれることでしょう。